IPカメラとVMSの統合について知っておくべきこと
すべてのVMSがオープンアーキテクチャのシステムを利用したカメラ統合を提供しているとは限りません。VMSプロジェクトを具体化していく際に考慮すべき重要な事項を次にご紹介します。
老朽化したビデオ管理システム (VMS)は、現在のセキュリティ要求に対応できるように構築されていません。現在、組織のほとんどが、セキュリティカメラの増設、高解像度ビデオ、映像の保存期間の延長を望んでいますが、これらは既存のシステムに負担をかける可能性があります。
ネットワーク接続型のカメラを追加する場合は、サイバーセキュリティとプライバシーの懸念を最優先に考慮した上で、適切かつ慎重に行う必要があります。データを保護し、システムのセキュリティを強化するために必要な手順をベンダーに指導してもらことで、新たな脆弱性が生じるリスクを最小限に抑えることができます。
VMSを新しくしたからといって、サイバー脅威の影響を受けない、将来的に必要になることをすべて実行できるというわけではありません。新しいVMSを選択する前には、よくニーズをご確認ください。
チェックリスト
カメラ統合に必要なシステムの準備
VMS統合は、単にカメラを追加することではありません。お客様のシステムは、最新のIP カメラ技術を活用できますか? 使用できるのは、特定のメーカーのハードウェアのみに限定されますか? オープンアーキテクチャに対応していますか?
クローズドアーキテクチャシステムの場合は、統合が制限されます。オープンアーキテクチャのシステムを選択すると、接続を切断することなく、必要に応じて新しいシステムを追加し、随時ハードウェアをアップグレードできます。また、将来のニーズの変化に応じてセキュリティソリューションスイートを拡張することもできます。
VMSを決める際に検討すべき事項:
- システムプロバイダーは、システムのデフォルトパスワードを変更するだけでなく、サイバーセキュリティのプロトコルを改善するサポートを提供してくれますか?
例えば、専門家にサイバーセキュリティ評価を依頼し、オンラインの脅威を軽減するセキュリティ機能を強化することはできますか?
- 自動ナンバープレート識別 (ALPR) などの他のセキュリティ製品をVMSに簡単に追加できますか? それとも、別のシステムとの統合が必要になりますか?
統合型のフィジカルセキュリティプラットフォームを使用すると、ALPR、ビデオ監視、入退室管理、インターコムシステムなどを単一のユーザー インターフェイス (UI) に統合できます。
- お使いのVMSは、サーバーベースの分析に対応できますか?
動画の処理および分析は、カメラ自体ではなくサーバー上で実行されるため、パフォーマンスが向上し、新しいIPカメラを購入する際に動画の品質を優先できるようになります。
- さまざまなステークホルダーと協働で、ビデオ証拠を管理できますか?
ビデオ映像は調査や運用プロセスのレビューに不可欠な要素です。デジタル証跡管理システムは、エージェント、ビジネス、弁護士、公共機関の間の共同作業を促進するもので、すべての情報を単一のアプリケーションで確認できます。
手動で設定しなければならないものはありますか?
VMS内ですべてのカメラのプログラミングができますか、それとも次のようなパラメータを手動で設定する必要がありますか?
- IPネットワークの検出とIPアドレスの設定
- フレームレート
- 解像度
- 動作検出: カメラ内またはサーバーベース
- ビットレート: カメラごとに可変または固定ビットレートを設定する機能
- キーフレームの間隔
- デジタル I/O
- オーディオの入力/出力
- カメラのファームウェアとパスワードを更新する機能
ネットワークのトラフィックを最小限にするには、VMSに1秒につき一定間隔のキーフレーム (I -フレーム) を設定し、主要なプロトコルを制御する機能も必要です。
期待を上回る機能を備えたVMSを検討する
- すべてのアナログのPTZプロトコルを制御する (ビデオエンコーダーで対応するPTZ プロトコルに限定されない)
- サーバーサービスを再起動せずに設定を変更できるようにする
- カメラから直接ユニキャストとマルチキャストを管理する
- MACアドレスではなく、カメラの合計接続数を基準にライセンスを付与する
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サイバーセキュリティを必ず考慮に入れる
VMSは、どのような暗号化やその他のセキュリティ機能 (EN)を提供しますか?
- サイバーセキュリティ体制を追跡できるようにする組み込み式のツールやサービスはありますか?
- パスワードの変更、安全な接続プロトコルの使用、最新のファームウェアへの更新、安全性の低いカメラへのアクセスの無効化など、良好なセキュリティ衛生を維持するのはどれくらい簡単または難しいですか?
- お使いのVMSは、オンプレミスおよびクラウド上で交換および保存されるビデオの転送中および保存中の暗号化に対応していますか?
- VMSは、エンドツーエンド暗号化 (SRTP) に対応していますか? これは、カメラからクライアントインターフェイスへのビデオ交換を最も安全に行うプロトコルです。
- ベンダーは、新しいシステムに移行する際に、専門的なサポートと明確な推奨事項を提供し、セキュリティギャップが生じないようにしていますか?
- ビデオ証拠の改ざんを防ぐために、どのようなシステムを導入していますか?
- VMSに何重にも保護手段を講じて、ビデオの不正エクスポートとデータの不正アクセスを阻止できるようになっていますか?
- セキュリティシステムにアクセスするログインシステムは統合されていますか?
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プライバシーを最優先する
ビデオ監視の普及に伴い、政府は企業がカメラを設置できる場所や収集した映像の使用方法を制限する新しい規制を導入しています。
地域のプライバシー法に簡単に準拠できるようにするには、VMSサプライヤーに次の質問をしてください。
- 個人を特定する必要がない場合、ビデオ映像は匿名化されますか?
- そのVMSは、異なるエリアに応じてプライバシーレベルの調整ができますか? (例: ロビーやカフェテリアに対し関係者限定ゾーン)
- VMSを使用すると、ユーザーは個人データに安全にアクセスできますか?
- 特定のエリアを保護するためにビデオカメラを設置する必要が本当にありますか?セキュリティソリューションは、他のタイプの接続センサーなどのプライバシーを強化する別のオプションに対応できますか?
- 地域または業界の規制の変更により、データのアーカイブ期間が変わった場合に、保持ポリシーを自動化するのは簡単ですか、難しいですか?
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オープンアーキテクチャを選択してビデオ管理を簡素化する
テクノロジーは絶えず進化しているので、選択肢を限定する必要はないのか?現在および今後数年のニーズを満たすVMSに投資する
オープンアーキテクチャのビデオ管理システムを選択すると、幅広いネットワークからパートナーを選択して、予算と要件に合った最適なハードウェアを見つけることができます。オープンアーキテクチャを使用すると、ニーズの変化に応じてセキュリティを拡張し、ビデオ監視システムを入退室管理、インターコム、ナンバープレート識別、その他のテクノロジーに接続することもできます。
IPカメラとVMSの統合の成功例
シンシナティ市
シンシナティ市は、監視システムをアップグレードすることで公共治安の強化を目指していました。旧式のアナログカメラと監視場所が分散しているという問題に直面していました。同市は、これらの問題に対処するため、1,000台を超えるIPカメラを単一の総合プラットフォームに統合する、Genetec Security Centerを導入しました。この移行により、監視の一元化、ビデオ品質の向上、将来的に拡張が必要になった場合に拡張できるスケーラビリティが可能になりました。この統合にはモバイルアクセスも含まれており、この機能を利用すると法執行機関はライブフィードを遠隔で確認できるため、インシデントの対応速度が向上しました。
お客様事例
イプスウィッチ市議会
イプスウィッチ市議会は、包括的な監視システムを利用して公共治安の強化を目指していました。複数の場所に設置された多様な種類のカメラを統合させるという課題に直面していました。同市議会は、Genetec Omnicast™ IPビデオ監視システムを導入し、中央制御室から500台を超えるカメラの管理が可能になりました。この統合により、監視を効率化し、インシデント対応時間が改善され、将来的に拡張が必要になった場合に拡張できるスケーラブルなソリューションを利用できるようになりました。また、オープンアーキテクチャのシステムにより、既存のインフラとシームレスに統合できました。
お客様事例
エドモントン・トランジット・サービス (ETS)
エドモントン・トランジット・サービスは、交通機関のネットワーク全体における乗客の安全性と運用効率の向上を目指していました。多数の駅と車両をリアルタイムで監視するという課題に直面していました。ETSは、Genetec Security Centerを導入し、IPカメラをVMSに統合して、一元的な監視と管理を可能にしました。拡張性の高いシステムにより、交通機関システムの拡大に合わせて新しいカメラを追加でき、オープンアーキテクチャにより他のセキュリティシステムと簡単に統合できます。このように設定することで、状況把握を強化し、インシデント管理を簡素化できました。
お客様事例
ピュイ・デュ・フー・テーマパーク(フランス)
フランスの有名なテーマパーク、ピュイ・デュ・フーは、広大な敷地全体の来場者の安全性と運用効率の向上を目指していました。課題は、多数のアトラクションや公共エリアを効果的に監視することでした。同パークは、Security CenterのGenetec Omnicast™ ビデオ監視システムに120台のカメラを統合しました。490台を超えるカメラは、すべて中央制御室から管理しています。この統合により、リアルタイムの監視、インシデント対応の改善、将来的に拡張が必要になった場合に対応できるスケーラビリティを可能にしました。柔軟性に優れたシステムにより、必要に応じてさまざまなカメラモデルやテクノロジを組み込むことも可能になりました。
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